全国のクリニックやセンターでは、PCR検査をはじめとする新型コロナウイルスに関するさまざまな検査を実施しています。
今回スポットを当てる“中和抗体量検査”もその1つであり、ここ最近受ける方は少しずつ増加しています。
ここからは、中和抗体量検査の詳細について解説したいと思います。
中和抗体量検査の概要
中和抗体量検査は、新型コロナウイルスへの感染後、あるいはワクチン接種後に体内で作られる中和抗体の量を調べるための検査です。
人の身体には、侵入したウイルスや細菌などを弱体化したり、無力化したりする免疫の働きである“抗体”というものがあります。
また、特定のタンパク質の活性を中和できる抗体のことを中和抗体といい、ウイルスのタンパク質に結合することで、感染を防止する役割を果たします。
中和抗体量とコロナ感染予防効果の関係
中和抗体を含む抗体の量は“抗体価”と呼ばれ、こちらは新型コロナウイルスのワクチンを摂取した後、2週間を目途に低下していきます。
一般的に、抗体価が減少すればするほど、新型コロナウイルスへの感染リスクは高まるとされています。
また、年齢や性別により、体内で生成される抗体価には差があること、摂取から時間が経つにつれ、抗体価が減少することについては、国内外の研究によって報告されている事実であり、たとえワクチンを摂取した後であっても、現段階でどれくらいコロナ感染リスクがあるのかについて、把握することは大切です。
そのために有効なのが中和抗体量検査であり、現在は日本国内のみならず、世界中で注目されています。
中和抗体量検査の方法について
中和抗体量検査は、抗体摂取のための採血を行った後、即日検査によって完了します。
所要時間は通常15分程度であるため、それほど時間に余裕がない方であっても、クリニックやセンターを予約できれば、気軽に受けることが可能です。
また、前述の通り中和抗体量検査は、体内に存在する中和抗体の量を調べるための検査であり、一般的にコロナ感染歴がなく、ワクチンを摂取してない方は、中和抗体を持たない“陰性”と判定されます。
一方、中和抗体を持っている場合、一定の数値を超えると“陽性”扱いになります。
ちなみに、陽性か陰性かを判定する数値基準に関しては、検査に使用される試薬によって、以下のように異なります。
・ロシュ製:0.8U/mL未満で陰性、0.8U/mL以上で陽性
・アボット製:50AU/mL未満で陰性、50AU/mL以上で陽性
中和抗体量検査の注意点
中和抗体量検査で調べることができる抗体価は、前述の通り年齢や性別によって差があります。
こちらの差は非常に大きくなることがあり、一度のワクチン接種で数万単位の数値を叩き出す方もいれば、2回ワクチン接種をしているにも関わらず、1,000ほどの抗体価しか持たないという方もいます。
また、中和抗体量検査を実施した結果、著しく抗体価が多いことが判明した方は、「絶対コロナにかかることはない」と認識しがちですが、必ずしもそうとは限りません。
実際、ワクチン接種によって抗体を得た後でも、感染リスクの高い行動を取ることで“ブレイクスルー感染”してしまった方は多くいます。
つまり、中和抗体量検査で良い結果が出たとしても、その後どう過ごすかによって、コロナ感染のリスクは高くも低くもなるということです。
中和抗体量検査を受けるべき方の特徴
以下に該当する方は、最寄りのクリニックやセンターに問い合わせを行い、中和抗体量検査を受けるべきです。
・新型コロナに対する中和抗体の量が気になる方
・ワクチン接種後にしっかりと抗体がついたかどうか調べたい方
まとめ
ここまで、新型コロナウイルス関連の検査である中和抗体量検査について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
ここ最近、オミクロン株の国内流入などにより、改めて新型コロナウイルスへの対策強化が叫ばれています。
また、中和抗体量検査を受け、自身の抗体価を知った上で適切に行動するというのも、立派なコロナ対策の1つだと言えます。