“プール方式”のPCR検査におけるメリット・デメリット

PCR検査を実施しているクリニックや専門施設には、1人ずつ個別に実施する通常の検査方式ではなく、“プール方式”を採用しているところもあります。
ここからは、プール方式のPCR検査における概要やメリット・デメリットを中心に解説しますので、興味がある方はぜひご覧ください。

プール方式の概要

通常のPCR検査では、個別方式が採用されています。
こちらは、1人ずつ個別に検体を採取し、新型コロナウイルス陽性、陰性のチェックをするものです。
一方、プール方式は、複数人分の検体を混和してPCR検査を実施し、陽性になった場合のみ、個別に再検して個人を特定します。
昨年から、東京都世田谷区などで実験的に導入され、現在ではこちらを採用しているクリニックや専門施設も増加しています。

プール方式のメリット

プール方式のPCR検査には、主に以下のようなメリットがあります。

・検査費用が割安
・感染者がいなければ検査時間を短縮できる

検査費用が割安

通常のPCR検査と比べ、プール方式のPCR検査は費用が割安な傾向にあります。
場合によっては、個別で受ける場合の半額以下に抑えられることもあり、あまり経済的な余裕がないという方にとって、こちらはメリットです。
ちなみに、プール方式の費用が割安である理由としては、複数人分の検体をまとめて検査することで、職員の手間や負担が軽減されること、少ない試薬で検査できることなどが挙げられます。

感染者がいなければ検査時間を短縮できる

前述の通り、プール方式のPCR検査は、陽性が出た場合に限り、1人ずつ検体を取り再度検査を行います。
そのため、もし検査を行った全員が陰性であれば、個別方式よりも大幅に検査時間を短縮することができます。
ちなみに、もし陽性になった場合でも、それが判明するまでの検査回数に関しては、個別方式よりもプール方式の方が短くなる可能性もあります。
例えば、個別方式のPCR検査を実施し、12人目がコロナ陽性だった場合、それが判明するまでには、12回検査を実施しなければいけません。
一方、プール方式の場合、1~4人目、5~8人目、9~12人目を計3回まとめて検査し、9~12人目の検体から陽性反応が出たときに、9~12人目を個別に検査することになります。
つまり、12人目がコロナ陽性であることが判明するまでに行う検査は、計7回で済むということです。

プール方式のデメリット

プール方式のPCR検査は、割安かつ効率の良いものですが、以下のようなデメリットもあります。

・検査結果が出るまでに時間がかかる
・精度に不安がある
・陰性証明として認められない場合がある

検査結果が出るまでに時間がかかる

プール方式のPCR検査は、検査自体にかかる時間が短い反面、他検体との兼ね合いにより、検査結果の判明まで1.5~2日程度かかることがあります。
個別方式の場合、翌日には結果が伝えられるため、こちらはデメリットと言えます。

精度に不安がある

プール方式の場合、コロナ陽性と判定する精度が一般的に落ちるとされています。
PCR検査では、ウイルスの遺伝物質の有無を調べますが、抗体内のウイルス量が少なすぎる場合、陰性と判定されてしまいます。
また、検体を入れるチューブの大きさは決まっていて、プール方式ではどうしてもチューブ内の1人たりの検体量が少なくなってしまいます。

陰性証明として認められない場合がある

海外渡航先の中には、プール方式でのPCR検査による陰性証明について、提出を認めていないところもあります。
このようなケースでは、改めて個別方式のPCR検査を受けなければいけません。

まとめ

ここまで、プール方式のPCR検査における概要やメリット・デメリットについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
今後、家族や友人、職場の同僚などとPCR検査を受けようとする方は、プール方式での検査も選択肢に入れておきましょう。
また、検査を受ける前には、しっかりとメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。

関連記事

  1. オミクロン株

    新型コロナウィルス『オミクロン株』の特徴

  2. 知っておきたいPCR検査の知識~こんなときどうすれば良い?~

  3. 新型コロナウイルス関連の用語について解説します

  4. PCR検査 流れ

    PCR検査を受けるまでの流れを目的別に解説します!

  5. コロナ後遺症の概要と対処法について知っておこう

  6. PCR検査とは?