PCR検査陽性に伴い仕事を休む場合のポイントについて

「どうも体調が優れない…」「身近な人がコロナに感染したため、自分も感染していないか心配…」
これらの理由でPCR検査を受け、コロナ陽性と判断されてしまった方は、基本的に職場から出勤を自粛するよう命じられます。
今回は、PCR検査陽性に伴い、仕事を休む場合のポイントを見ていきたいと思います。

PCR検査陽性に伴って仕事を休む場合の休業手当について

PCR検査を受けた結果、コロナ陽性となってしまった場合、基本的には都道府県知事が行う就業制限により、休業しなければいけません。
また、このとき多くの方が気になるのは、休業手当を受け取れるのかどうかという点です。
コロナ陽性に伴う休業は、一般的に使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないと考えられるため、休業手当は支払われません。
“使用者の責に帰すべき事由による休業”とは、使用者の都合によって労働者が就業できなくなった事由のことをいい、機械の検査、経営悪化による業務の減少などが当てはまります。
ただし、被用者保険に加入している方であれば、要件をクリアすることで、各保険者から傷病手当金を受け取ることは可能です。
具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12ヶ月の平均の標準報酬日額の2/3について、傷病手当金によって補償されます。

コロナの労災適用について

業務や通勤に起因して、PCR検査陽性となってしまったと認められる場合、労災認定が下り、療養費または休業補償を受け取ることができます。
ただし、労災と認められるためには感染経路の特定が必要であり、特定できない場合には業務従事状況、一般生活状況の調査が実施され、個別に業務や通勤との関連性が判断されることになります。
つまり、非常に時間と手間がかかるということです。
そのため、まずは先ほども解説した傷病手当金の受給を検討しましょう。
ちなみに、コロナ陽性となった方本人が保険給付の手続きを行うのが困難な場合、使用者には助力の義務が発生するため、早めに相談することをおすすめします。

職場への復帰時期について

PCR検査の結果、コロナ陽性と判定された方は、感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第18条に基づき、就業制限がかかります。
一方、退院(療養)の条件を満たし、退院あるいは宿泊療養、自宅療養が解除された場合には、同時に就業制限も解除され、その後の行動制限はなくなります。
ちなみに、人口呼吸器等による治療を行わなかった方は、以下のいずれかの日数が職場復帰までの目安となります。

・発症日から10日間が経過していて、かつ症状軽快後72時間経過した場合
・発症日から10日間経過以前に症状が軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後にPCR検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合

治癒したにもかかわらず自宅待機を命じられた場合について

すでにコロナから回復し、職場復帰の目安をクリアしているにもかかわらず、職場から一方的に自宅待機を命じられた場合、使用者には給料を全額支払う義務があると考えられています。
こちらは、使用者が労働者に対し、“自宅で待機する”という“業務”を命令するものであることが理由です。
ただし、職場復帰の目安はあくまで目安であり、必ずしも使用者が労働者の復帰を許可しなければいけない期間ではありませんので、自宅待機に関することは、双方でよく話し合い、トラブルを防止する必要があります。

まとめ

ここまで、PCR検査陽性に伴い、仕事を休む場合のポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
休業により、給料が減ってしまうことを危惧する方は多いかと思いますが、場合によっては傷病手当金や労災で補填できる可能性があります。
そのため、これらの詳細や手続きについては、コロナ陽性となる前から把握しておくことをおすすめします。

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